前回は、CuBox-i2上のUbuntuでUSBのWiFiアダプタを利用できるようにしました。
今回は、AndroidでUSBのWiFiアダプタを利用できるようにしましょう。CuBox-i2のみならず、CuBox-i1でも動作します。
使用したアダプタは前回と同じものです。
それでは、ここから手順を説明していきましょう。
SDカードとUbuntuが動作するPCを用意してください。
下は、Ubuntu PC上のターミナルでの作業が続きます。

1. SDカードにAndroidシステムを書き込みます。
(1) http://server.vijge.net/static/cubox/android/
から
android-4.4.2-1.0.1-ga-aaf118bb78-gapps.tar.xz
(2014年8月14日時点での最新版のファイル)
をダウンロードして展開します。
(2) 展開したら、SDカードをPCにセットして次のようにしてAndroidシステム一式を書き込みます。

$ cd android-4.4.2-1.0.1-ga-aaf118bb78-gapps
$ sudo ./create-sdcard.sh -f /dev/sdf

/dev/sdfの部分は、実際にSDカードがアサインされているデバイス名を指定してください。

2. USB Wifiアダプタ対応のカーネルとモジュールを生成します。
(1) 「ソフトウェア TIPS (13) CuBox-i にKitKat を載せてみる(ソースからのビルドに挑戦)」に記述してあるツール類のインストールをして、前準備の部分
「最初に http://www.solid-run.com/community/topic1091.html
から 「Clone in Desktop」を使ってこれから作業しようとするディレクトリに入れます。もし、ZIPダウンロードで持ってきた場合は、ディレクトリ名の最後が.masterとなっているのでandroid-imx6-kitkat としておきます。
ここからビルドを行っていきます。原文のインストラクションの文中にコメントをいれてみます。」
と 9.および 10. の部分
「 9. git clone git://git.freescale.com/imx/linux-2.6-imx.git kernel_imx
Linuxカーネルをダウンロードしてきてkernel_imx 内に入れます
cd kernel_imx; git checkout kk4.4.2_1.0.0-ga
Alternative, until Freescale updates their tree tags, the kernel can be downloaded from –
http://git.freescale.com/git/cgit.cgi/imx/linux-2.6-imx.git/tag/?id=kk4.4.2_1.0.0-ga
このように書いてますが、「別途ダウンロードしてきたもの」を使うと次のステップで git am が使えるようにするのに苦労します。git clone を使いましょう
10. Manually patch kernel_imx –
cd kernel_imx
git am < git tree location >/android-imx6-kitkat/kernel_imx/3.0.35/*
kernel_imxは実際にはkernel_imx.gitでした。これでソースへのパッチをあてることができます。」
が既にできているものとします。ここからは、上で記述のある “kernel_imx” ディレクトリにcdしているものとして説明を進めていきます。

(2) 環境変数をセットしておきましょう。

$ export ARCH=arm
$ export CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabi-

(3) USB Wifiアダプタ・モジュール・ソースファイルを有効にします。
a) drivers/net/wireless/Makefile をテキストエディタで編集して
コメントアウトされている

obj-$(CONFIG_RTLWIFI)		+= rtlwifi/

を有効にします。
b) drivers/net/wireless/Kconfig をテキストエディタで編集して
コメントアウトされている

source "drivers/net/wireless/rtlwifi/Kconfig"

を有効にします。

(4) USB Wifiアダプタ・モジュールをmake対象にします。

$ make imx6_cubox-i_hummingboard_android_defconfig
$ make menuconfig

GUI画面でアダプタをモジュールとして取り込むように指定しましょう。
トップメニューから下のように”Realtek RTL8192CU/RTL8188CU USB Wireless Network Adapter”をモジュールとして組み込むように指定します。

Device Drivers  --->
    [*] Network device support  --->
      [*]   Wireless LAN  --->
         <M>   Ralink driver support  --->
         <M>   Realtek RTL8192CU/RTL8188CU USB Wireless Network Adapter

を何回か選択して、最後にこの設定を保存するか質問してきますまでを選択してGUIメニューを終了します。

(5) カーネルの生成です。

$ make uImage

これで、カーネルファイル arch/arm/boot/uImage が生成されました。

(6) 次に、モジュールを生成しましょう。

$ make modules
$ mkdir ../modules
$ export INSTALL_MOD_PATH=../modules/
$ make modules_install

これにより ../modules/lib/ の下にモジュール化したファイルが生成されました。
WiFiアダプタに関するモジュールのファイルは
lib/modules/3.0.35-g01c6ae1-dirty/kernel/drivers/net/wireless/rtlwifi/
の下に
rtl8192c/rtl8192c-common.ko
rtl8192cu/rtl8192cu.ko
rtlwifi.ko
のような構成でできているはずです。

3. SDカードにカーネル、モジュールを書き込みます。
先程、作成したSDカードをPCから一旦抜いて挿し直してください。
自動的に
/dev/sdf1 が /media/foo/boot に
/dev/sdf5 が /media/foo/12345 にマウントされたものとします。
(自動マウントしない場合は、ご自身でマウントしてください。)

a) カーネルの書き込み

$ sudo cp arch/arm/boot/uImage /media/foo/boot

b) モジュールの書き込み
モジュールは全て、/media/foo/12345/lib/modules 直下に置きます。

$ cd ../modules/lib/modules/3.0.35-06573-g475c029-dirty/kernel/drivers/net/wireless/rtlwifi
$ sudo cp rtlwifi.ko /media/foo/12345/lib/modules/
$ sudo cp rtl8192c/rtl8192c-common.ko /media/foo/12345/lib/modules/
$ sudo cp rtl8192cu/rtl8192cu.ko /media/foo/12345/lib/modules/

4. アダプタ用のファームウェアを書き込みます。
まず、適当なディレクトリを作成して、WiFi USB ドングル用ドライバとファームウェア/からファームウェアをダウンロードして、展開してください。
lib/firmware/rtlwifi/ の下の rtl8192cufw.bin などが必要になります。
ファームウェアは、/media/foo/12345/etc/firmware の下に置きます。

$ sudo cp -rf lib/firmware/rtlwifi  /media/foo/12345/etc/firmware/

5. Android起動時に自動的にモジュールをロードするようにします。
テキストエディタを使って、/media/foo/12345//bin/wifi/rc.wifi ファイルの最後に以下の行を追加します。

# insmod for USB Wifi
insmod /system/lib/modules/rtlwifi.ko
insmod /system/lib/modules/rtl8192c-common.ko
insmod /system/lib/modules/rtl8192cu.ko

これで、作業は終了です。SDカードの全パーティションをアンマウントしてPCから抜いて、CuBox-iに挿してAndroidが起動して、WIFIが利用できることを確かめてください。